先生方からのメッセージ

■名古屋大学大学院 医学系研究科 教授
■東京大学       医科学研究所 教授 上田 実

上田教授本格的な高齢化社会を迎えた現在、高齢者特有の病気は今までの医療技術では治りません。それは細胞自体が齢をとってしまって劣化することで生じる変成性疾患なので、簡単に言うと細胞を入れ替えるしか方法はありません。薬では治りません。その薬では治らない病気を治せるようにしたのが再生医療です。再生医療は、ある意味、高齢化社会の救世主になりうると思っています。

医療技術全般がひとつの転換点になって、今まで治らないと言われていた病気が再生医療で治る、しかも薬でもなく移植でもなく人工臓器でもなく、本人の細胞そのものが作るということで治すわけで、想像を絶する効果があると思います。それは、おそらく患者さんの健康はもとより、生活そのものを改善し、多くの人を幸せにするだろうと思います。

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■京都府立医科大学 眼科学教室 教授 木下 茂

木下教授幹細胞を用いた再生医療的手法によるOcular Surface(眼表面)の外科的再生は次世代の治療法です。京都府立医大眼科学教室では両眼性の重症眼表面疾患への再生医療として、同種角膜上皮細胞および自家口腔粘膜上皮を羊膜上に培養して上皮シートを作成し、移植する方法を開発しました。既に学内IRBにもとづく臨床研究で本方法の臨床的有用性を数十例について確認することができています。

培養角膜上皮シートには、幹細胞が数多く含まれている可能性があり培養角膜上皮による眼表面再建術は再生医療の先端的役割を担うものと考えています。

今、再生医療を目指したベンチャー企業が多くの難治性疾患の治療法の開発に取り組んでおり、その展開が注目されています。アルブラスト株式会社はその一つであり、胎盤の羊膜研究から派生した技術を再生医療に役立てようとしています。

上述のように、眼表面再建医療の再生医学を中心課題としてかかげる我々も同じような領域に科学的興味を持っていますので、お互いのノウハウを共有する場面があります。アルブラスト株式会社が再生医療に関する新しい基盤技術を開発し、眼科領域を第一の突破口とし、21世紀の医療に貢献する企業に成長することを期待しています。

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■慶応義塾大学 眼科学教室 教授 坪田 一男

坪田教授昨今の科学と医療技術の進歩はめざましく、とくに再生医療における研究と技術の進展は素晴らしいものがあります。実際に私たちの施設でも、羊膜上に角膜のステムセル細胞を培養して移植治療を行うという再生医療が現実のものとなっています。これにより、これまで治すことのできなかった症例にも治療の可能性が開け、 患者様が光を取り戻すことができるようになりました。

羊膜はご存じのように、母胎の中で、異物である胎児と母胎とを共存させる不思議な力を持った膜組織です。移植治療において、この羊膜の力と可能性に大きな期待が寄せられています。

一方で、高齢化にともない、長寿社会のクアリティオブライフが注目されています。私たちの眼科でも、角膜のみならず、網膜その他の組織の再生、将来的には眼全体の再生を視野に入れ、研究に取り組んでいます。再生医療においては、医療倫理や経済の問題など、様々な社会問題も存在していますが、医療技術の進歩とともに社会が要請する治療を安全に迅速に広く提供することが、医療の本質、我々医師の責務と考えます。しかし医療は医師の力のみでは成し得ません。それを支え、あるいはリードする企業、研究者、そして多くのスタッフとの連携により実現するものです。アルブラスト株式会社が未来の医療において、多くの患者様の声に応え真の社会貢献を実現すべく邁進されることを期待しております。

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■財団法人 先端医療振興財団 知的クラスター創成事業
  再生医療研究グループ角膜内皮再生研究チームリーダー
■東京女子医科大学 東医療センター眼科          山上 聡

山上助教授角膜は目の窓としてその透明性が必須ですが、角膜内皮細胞は角膜の透明性を維持する最も重要な細胞です。この角膜内皮細胞が何らかの原因で障害されると視力が極端に低下し、角膜移植が唯一の治療となります。現在角膜移植を受ける患者さんの半数以上がこの内皮細胞の障害のみを理由として手術を受けていますが、移植用角膜は世界中で深刻な供給不足となっています。

我々はこのような状況を打破すべく再生医療によってこの角膜内皮細胞だけを移植する治療法の開発に取り組み、ヒト角膜内皮幹細胞の大量培養と治療法の開発に成功しました。今後はこの技術を臨床応用すべく、さらに洗練された技術へと改良を加えています。

しかしいくら優れた技術であっても再生医療技術を多くの患者さんに届けるには、安全で安定した再生材料調製のための高度な技術が必要であり、医師の力だけでは困難です。従って患者さんや医師達は、アルブラストのような再生医療に特化した企業が再生材料の製品化を成し遂げることを待ち望んでいます。近年新しい医療として注目されている再生医療がより身近な医療となるために、アルブラストが大きな役割を果たし、再生医療産業をリードしていくことを強く期待しています。

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